暑い季節になってきました。近年、すっかり全国に知れ渡り、販売されるようになったゴーヤをはじめとした夏野菜も出回るようになりました。 ビアガーデンでのビールもおいしくなる季節です。これらの食品に共通する特徴は「苦味」です。今回は苦味と健康に関する話題をお話したいと思います。
苦みは本来、危険のサイン
人間は、5つの基本の味(甘味、塩味、うまみ、酸味、苦味)を識別できる感覚を持っています。このうち、甘味は糖分、塩味はミネラル、うまみはアミノ酸が含まれていると認識するための感覚であり、「食べ物の中に栄養がある」と感じることができます。
一方、酸味は、元来、主に腐敗物などの危険な食べ物を認識するための感覚でだといわれています。苦味も、食べ物の中に毒が含まれている、と認識するための感覚であるといわれています。いわば、危険信号として感じる味です。そのため、食経験の少ない子供は、苦い食べ物を嫌う傾向があります。
長い食経験で、苦みを美味しさへ変化
しかしながら、人類は長い経験を通じて、この感覚を楽しむ工夫を重ねてきました。抹茶やコーヒーなどの飲み物や、アユなどの魚の内臓など、苦味は私たちの食生活を豊かなものにしています。苦味のもととなる成分は、様々なものが知られていますが、それぞれ、多様な生理活性が示唆されています。茶に含まれるカテキンには、血圧上昇抑制作用や抗酸化作用、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗酸化作用、ゴーヤに含まれるのモモルデシンには、血糖値を下げる効果があることが示唆されています。
加えて、適度の苦味は胃を刺激して、胃酸や消化酵素の分泌を促すよう働きます。摂りすぎないように気を付けて、旬の味・心地よい苦味のある食品を普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。